三浦半島西部~相模湾茅ケ崎沖にかけて、生きイワシエサを使用したヒラメ釣りがひそかに注目を集めている。
4~5月は浅場に乗っ込んでくるため良型の姿が目立ち、「一年中ヒラメ釣りをしたい」というファンがこの時期に集結する。
茨城~外房エリアのヒラメ釣りと比較すれば数こそかなわないが、海は穏やかで富士山始め変化に富んだ四季の景色を眺めながらの釣りはなかなか風情がある。
![釣り場の写真]()
相模湾は変化に富んだ絶景を眺めながら釣りができる
出典:
浅場に乗っ込んだ大型ヒラメを狙う
「ベイト(カタクチイワシ)の反応を探して、その反応に着いたヒラメを狙っています。2kg級は結構いますし、昨日は海面で5kgクラスのバラシもありました」と三浦半島葉山あぶずり・秀吉丸の栗飯原貴海船長は言う。
秀吉丸は生きイワシを使用したヒラメ釣りを20年以上前から楽しませてくれており、現在ではヒラメ釣りだけでなくアマダイとのリレー釣り、コマセ五目と組み合わせた沖の泳がせ五目など、変わり種のメニューも用意されて人気を集めている。
ポイントは港の目の前の葉山沖を始めとして、鎌倉~江ノ島~茅ケ崎沖まで幅広く狙う。
水深はいずれも20m前後の浅場で、ライトタックルで楽しめる。
オモリは50号前後で、各自のタックルに合わせて40号や60号を使い分ける。
竿は全長2.4m前後のライトヒラメ用や全長2m前後のライトゲームロッドを使用する。
リールは小型両軸で道糸はPE1~2号。
仕掛けはいわゆる普通の親孫式のヒラメ仕掛けでOK。
秀吉丸では孫バリはシングルフックを推奨している。
これは孫バリが打ちやすく外れにくいという理由からだ。
目下のところ、エサのマイワシは「これデカすぎじゃね?」と思うような20cmを超える大型ばかり。
このエサだとエサの付け方が甘いとすぐに外れてしまうのだ。
船中みな「でけえ」とイワシを見て思わず口にする。
「こんなに大きくて食うの?」なんていう思いは口には出さないが、後ほどこれがいい仕事をするのを目の当たりにすることになる。
7時前に港を出るとすぐに船長からていねいなアナウンスがある。
イワシはオケの中に2匹までにすること、エサ付けは手を冷やしてから水中で素早く行うこと、根周りが多くなるので根掛かりに注意することなどが告げられた。
潮は適度な濁りがあってちょうどよさそう。
取材日の少し前にはかなりの濁り潮になり、別船で狙うマルイカがかなり浅場で釣れるようになったとのことだったが、その後やや澄んだ模様。
両極端な感じじゃないのでヒラメ釣りには好条件に思えた。
船長は港を出てベイトの反応を探すが、「今日は反応がない」とこぼす。
少し走って定置網周りの水深20m前後で反応を見つけてスタート。
釣り方はスパンカーを立てた流し釣り。
根周りにあるベイトの反応を見つけると投入の合図がある。
オモリが着底したら50cm~1mほど上げて待つのが基本になる。
起伏が激しい場所もあるので、手持ちでまめにタナを取り直してアタリを待つ。
開始から1時間ほどでようやく左舷の大ドモで1kg級が上がった。
この場所で少し粘るも続かず、船長は少しずつポイントを移動しながら探っていく。
海は穏やかで春霞のせいか、富士山をクッキリと拝むことはできないが、冠雪した山頂をうっすらと確認できる。
海鳥が飛び交う下ではシラス漁船が網を引く。
SUPやヨットの姿もチラホラ出始めて、春の湘南が詰まった光景が広がる。
ヒラメタックル
竿はライトヒラメ用やライトゲーム用を、リールはドラグ性能のいい小型両軸を組み合わせる。
水深が浅いので手巻きで十分対応できる。
イワシ反応の下にヒラメがいた!
船長は反応を探しながら鎌倉~江ノ島沖へ。
ここではいい反応がなくさらに西へと船を進める。
辻堂海岸の沖あたりで、西側にはエボシ岩が望める。
磯釣り師の姿が多くあり、周辺にはヒラメやアオリイカ狙いの船も。
この場所ではかなりのベイト反応が出ていた。
水深は20m未満だが、探見丸アプリで確認すると縦長に広く反応が出ている。
海面に目をやると、キラキラとカタチクイワシが泳ぐ姿が確認できる。
すると右舷ミヨシで竿が入り込む。
イワシの群れからはぐれたような動きを演出して誘ってみたところ、一気に竿が入り込んだという。
上がったのは2kg弱のまずまずサイズ。
少し流すとイワシの反応が移動し、船長はまた反応を探して投入の合図を出す。
ここから投入のたびにだれかしらにアタリがあり、2kg前後が取り込まれていく。
1回の流しでほぼ1枚だが、確実に食ってくるという感じだ。
「でかいエサを選んで付けました」という人が多く、エサが大きくても全く関係なく食ってくるようだった。
というよりむしろ大きくて元気なゆえアピール度も抜群で食ってきたというのが正解かもしれなかった。
3kgクラスを上げた人は大きく竿を持ち上げて落としていくときにガツンときたそう。
派手な釣れっぷりではないが、サイズもよく船中は盛り上がりを見せる。
そしてクライマックスがやってきた。
ヒラメが大好きでシーズン中は茨城や飯岡に通っているというヒラメフリークの横浜市の山口智生さんのライトヒラメロッドが大きく曲がる。
水深が浅く活性も高いのか引きは思いのほか強い。
できるだけ暴れさせないように慎重に上げてくると大型ヒラメが姿を現した。
上がったのは後検量3.75kgの良型だった。
山口さんは誘い上げ、誘い下げの動作のほか、微速巻き上げでヒラメにエサを見つけてもらえるようにアピールを繰り返していたという。
![釣行の写真]()
船中1枚目は1.5kg級
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![釣行の写真]()
3kg近い良型も上がった
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5kg級のチャンスも 今後も期待は十分
筆者もベイトの群れから脱落したような動きを演出して誘い続ける。
すると、押さえ付けるようなモタレのアタリがやってきた。
ここから動きがなかったのでゆっくり聞き上げると重みがある。
ここでグイッと引き込んだので大きく合わせを入れる。
しっかりとハリ掛かりしたようでゲームロッドが激しく引き込まれる。
だが、根から剥がそうとリールを巻き始めた瞬間にフワッと軽くなってしまった。
上げてみるとハリス切れしていた。
どうやら大型のイワシを丸飲みしていたようだ。
前日にバラしたという5kgクラスの大型だったかもしれない(見てないからなんとも言えないけれど)。
最後は港前まで戻り、浅場で1枚を追加して14時に沖揚がりを迎えた。
この日は9人で11枚という結果だった。
数こそ多いとは言えないかもしれないが、5kgオーバーのチャンスもあって、かなり夢のある釣りと言えそうだ。
この日のゲストはアカハタ1尾だった。
ベイト反応を狙うのでゲストはあまり多くないようだが、マゴチなどはよく交じるという。
トップで3枚釣った人は決めたタナで誘わずに待っていたとのことだった。
ただし、大型を釣った人はみな誘いなど何かしらアクションを入れたあとに食うことが多かったようなので、色いろ試してみるといいだろう。
秀吉丸ではイワシがあれば7月ごろまではこの釣りを続ける予定とのこと。
穏やかな海でのヒラメ釣り。外海が苦手な人にもぜひ挑戦していただきたい
![釣行の写真]()
後半は2kg前後がコンスタントに上がった
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![釣行の写真]()
アカハタとヒラメ2枚ゲット
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「沖の泳がせ五目」ってなんだ?
秀吉丸では、イワシエサを入手、キープできるという強みを生かした泳がせ釣りが各種楽しめる。
目下のところ、「沖の泳がせ五目」なるメニューが用意されている。
はて、いったいどんな釣りだろうか?
取材日はこの釣りにも出船していて、ちょうど帰港したので聞いてみた。
目下のところこの釣りは航程1時間あまりのポイントで、イワシエサの泳がせ釣りでマハタ、ヒラメなどを狙い、リレーでオキアミコマセで五目釣りをするというもの。
この日は5.4kgの良型マハタが上がっていた。
泳がせではマハタ、ヒラメ、カンコ、オニカサゴなどが上がったという。
リレー釣りはイサキをメインとした五目釣りだった模様。
今後は泳がせでイシナギも狙っていくとのこと。
「何が釣れるか分からない」という、こちらも夢のある釣りだ。
次回はこっちに乗ってみたい!
![釣行の写真]()
5.4kgの良型マハタはうらやましい!
出典:
船宿information
三浦半島葉山あぶずり 秀吉丸
046・875・0859
備考=予約乗合、6時までに受付。ほかタイ五目、マルイカへも
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隔週刊つり情報(2024年5月15号)※無断複製・転載禁止