キンメやクロムツ(ムツ)といった深海のターゲットは食味のよさから近年注目を浴びており、自分で釣ってみたいという船釣り初心者も増えている。
そんな人におすすめしたいのが、300~350号ほどのオモリと5~10本バリ仕掛けを用いる相模湾や三浦半島西部から出船するキンメ・ムツ五目乗合や根魚五目乗合。
釣り場は沖ノ瀬の水深350~400m前後で、キンメは30~40cm級をトップ10枚前後、好日は20枚近く釣れるという。
取材した相模湾小坪港の太郎丸を始め、各船宿では貸し道具が充実しておりフルレンタルも可能。
釣り方も船長が教えてくれるので深海釣り未経験でも気軽にチャレンジできる。
フルレンタルの利用がおすすめ
太郎丸では予約時に貸し道具を申し込むと、当日釣り座にロッドキーパーにタックルをセットし、氷、オモリ、タオル、オケ、バケツ、エサを用意しておいてくれる。
仕掛けは受付で受け取る。
美味で人気のキンメダイは、深海釣りの経験がない方にとって、いつかは釣って食べてみたい憧れのターゲットだろう。
ただ、重いオモリとハリ数の多い仕掛けの扱いが不安だったり、もたついているうちに投入のタイミングを逃したり、投入できても仕掛けの着底が分からないといった難しそうなイメージがあって躊躇している方もいるかもしれない。
そんなビギナーにおすすめの船宿がキンメ・ムツ五目乗合で出船する相模湾小坪港・太郎丸だ。
「うちでは初心者大歓迎、貸し道具で楽しんでもらっていいます」と高橋良至船長。
タックルがなくても、釣り方も分からない深海釣り初心者でも問題なく楽しめるのだ。
実は私も以前、同宿でレンタルタックルを借りてキンメデビューを果たした。
そのときは1枚しか釣れなかったが、これまで難しいと思っていたキンメ釣りがグッと身近に感じられるようになった。
![釣行の写真]()
▲出船前に船長が道具の使い方や釣り方をレクチャーしてくれる
出典:
知っ得!3つの必須便利アイテム
快適に釣りを楽しむため、仕掛けをたぐるときに滑ってケガをしないための指サックをはめておく。
仕掛けなどを切るためのハサミ、歯の鋭い魚の口に掛かったハリを外すためのペンチも用意しておこう。
Tackle Guide
今回はレンタルタックルを利用。
仕掛けはひどいオマツリさえしなければ何回でも使い回せるので、レンタルに含まれる船宿仕掛け1組あればOKだ。
船にも用意があるのでオマツリなどで修復不可能な状態になったら、改めて買い足せばいい(1組1000円)。
1投目からきた
乗船した3月28日は私を含めて10名のお客さんが集まった。
レンタルタックルがセットされている右舷トモ2番に入る。
当日は4名がレンタルタックルでの初チャレンジ。
私はレンタル3回目、前回は確か2枚で単発だったので、今回は多点掛けのだいご味を味わいたい。
出船前に船長から釣り方のレクチャーを受けて6時に出船、航程1時間ほどで沖ノ瀬のポイントに到着。
投入はミヨシから順番に行う。
私は4番目。
仕掛けが足に絡まらないようにマグネット板の端に立ち、オモリを持って投入の合図を待つ。
投入に失敗すると1回休みになるので、この瞬間はいつもドキドキだ。
自分の番となり、船長からの「どうぞ!」の合図でオモリを軽く投げ入れる。
6本バリ仕掛けがスムーズに海中に沈んでいき、ひと安心……と思ったら、全員の投入が無事終わると、「水深400mです」と船長からのアナウンス。
次にクリアしなければならないのが着底の確認だ。
キンメ釣りは着底が分からなければ始まらない。
当日は潮が速く、オモリ300号では分かりにくいため、350号で統一した。
実際の水深より道糸が出るのでリールのカウンターを見て、アナウンスされた水深になったらスプールを親指で軽く押さえて道糸が入っていく海面を注視。
勢いよく出ていた道糸がたるみ、道糸の出が止まったら着底だ。
仕掛けが着底したら糸フケを取り、まずは底ダチを再確認する。
道糸がしっかり立ったのを確認して道糸のマーカーを目印に5m巻き上げて待つ。
あとはキンメが掛かるのを待つだけなのだが、船の揺れでアタリがよく分からない。
しばらくして船長から、「右舷の方から巻き上げてください」と指示があり、巻き上げ開始。
レンタルタックルの場合は、あらかじめ巻き上げ速度がセットされているので電動リールの巻き上げボタンを押すだけでOK。
楽ちんだ。
キンメ釣りはヤリトリを楽しむというよりも、巻き上げを待つ間に何枚掛かっているのか、もしくは何が掛かっているだろうと想像するのが魅力の一つ。
ワクワク感を味わいながら巻き上げを待つ。
やがて仕掛けが上がったので竿を立て、道糸をつかんでロッドキーパーの糸止めに掛けてから幹糸をたぐる。
次の投入に備えてハリはマグネット板のリール側から順番に並べていく。
5本目のハリを並べたところで赤い魚影を確認。
なんと一番下のハリに30cmのキンメが掛かっていた。
これで土産ができた。
左隣の芳賀さんもキンメを取り込んでいる。
しかもうらやましい3点掛けだ。
「初めて訪れる船宿だったので不安だったのですが、道具もすべて借りられて、船長が親切ていねいに教えてくれたので釣ることができました」と釣り上げたキンメをうれしそうに見つめている。
左舷でも巻き上げ始めたので様子を見にいくと、トモ2番の常連さんが30cmのキンメを釣り上げた。
ミヨシ2番、3番の杉山さん親子は船釣り初挑戦。
息子の航一くん(11歳)が興奮気味なので駆け寄ると、なんと1投目から5点掛けを披露。
「息子が春休みなので一緒に釣りにきました。初めてなので、どうせなら高級魚を釣りたいということでキンメにしましたが、まさか1投でこんなに釣れると思っていなかったのでうれしいです。帰ってからの料理も楽しみ」と父・兼一さんが満面の笑みで話してくれた。
その後しばらくはアタリが遠く、良型のクロムツ(ムツ)や30cm級のキンメが船内でポツポツ釣れるだけで数がのびない。
![釣行の写真]()
▲アベレージは30cm前後
出典:
![釣行の写真]()
▲脂が乗った白身は刺身、焼き物、煮物などどんな料理にも合う
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![釣行の写真]()
▲良型のクロムツ(ムツ)も交じった
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終わりよければすべてよし
クライマックスを迎えた最後の流しは水深400mを狙う。
このころになると投入から着底の確認までスムーズにできるようになる。
底ダチを取り、5m巻いて竿先を注視していると、小刻みにたたかれた。
「アタってるよ」と船長に言われて期待が高まる。
私のほかにもアタっている方がいて、「少しずつ浅くなります。アタっている方はハンドルを10回巻いてください。アタリがない方はそのまま待ってください」というアナウンスがある。
根掛かりするとハリ掛かりした魚ごとロストしてしまうので、根をかわすために巻き上げておくのだ。
やがて船長から巻き上げの合図。
80mまで巻き上げてきたところ竿が強くたたかれる。
大きなキンメかそれとも多点掛けか、とにかくバレずに上がってきてほしいと願うばかり。
巻き上がった仕掛けをたぐると2番目のハリに赤い魚影を確認。
海水をくんだタルに取り込んだキンメを入れて、さらにたぐると3番目、4番目、5番目、6番目となんと5点掛けを達成。
念願の多点掛けができ満足していると、左隣の方は4点掛け。
左舷トモ2番の常連さんが40cmのフウセンキンメを取り込んだところで14時の沖揚がり。
釣果は30~40cmのキンメが一人0~7枚。
クロムツ、ユメカサゴが交じった。
レンタルタックルを使い、船長に教わったとおりに釣れば、初挑戦でも憧れのキンメを手にすることができるはず。
さあ、次はアナタの番!ぜひチャレンジし、釣って食べていただきたい。
![釣行の写真]()
▲40cmのフウセンキンメも上がった
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![釣行の写真]()
▲入門者は5~6本バリで始めよう
出典:
船宿インフォメーション
相模湾小坪港
太郎丸
0467・22・7662
▼備考=予約乗合、6時集合。
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隔週刊つり情報(2024年5月1号)※無断複製・転載禁止